日産のe-POWER車や電気自動車に搭載されているe-Pedal。「eペダルは燃費が悪い」という気になる口コミや評判を目にすることがありますが、実際のところはどうなのでしょうか。エクストレイルやセレナの燃費、そしてリーフの電費への影響も気になるところです。
また、高速道路での走行性能や、頻繁に点灯すると言われるブレーキランプの問題、さらには止まらない、危ないといったデメリットや、e-Pedalが廃止されたという噂の真相まで、この記事で徹底的に掘り下げていきます。
- e-Pedalの基本的な仕組みとメリット・デメリット
- 燃費(電費)が悪化すると言われる本当の理由
- 車種ごとの燃費への影響とユーザーのリアルな声
- e-Pedalを賢く使って燃費を向上させる運転のコツ
eペダルで燃費が悪いは誤解?仕組みを解説
- e-Pedal操作のデメリットとは?
- 実際の口コミ・評判をチェック
- ガソリン車とは違う電費の考え方
- 日産リーフの電費への影響は?
- 頻繁なブレーキランプ点灯は迷惑?
e-POWERや電気自動車に搭載されているe-Pedalは、アクセルペダルの操作だけで加減速をコントロールできる便利な機能です。しかし、「e-Pedalを使うと燃費が悪くなる」という声も聞かれます。まずは、機能の概要や基本的な評価について解説します。この革新的な機能がどのように機能し、私たちの運転体験にどのような影響を与えるのか、その核心に迫ります。
e-Pedal操作のデメリットとは?
e-Pedalの最大のメリットは、なんといってもペダルの踏み替え頻度が減り、運転の負担が大幅に軽減される点です。特に渋滞の多い都市部や、信号での停止・発進が繰り返される市街地走行では、右足の移動が少なくなるため、疲労感が大きく異なります。この「ワンペダル感覚」の運転は、一度慣れると手放せなくなるというドライバーも少なくありません。
一方で、この独特の操作感覚に慣れが必要という明確なデメリットが存在します。アクセルペダルを離すだけで、一般的なガソリン車のエンジンブレーキとは比較にならないほど強い減速力が働くため、乗り始めの頃は、意図せずカクカクとした動きになり、同乗者から車酔いを指摘されるような、ぎくしゃくした運転になりがちです。ドライバー自身が予期せぬ減速に驚くこともあるかもしれません。
特に注意したい場面
駐車時の車庫入れや縦列駐車、狭い道でのUターンなど、数センチ単位での微細な速度調整が求められる場面では、その扱いにくさが顕著になります。アクセルワークに非常に高い集中力が求められるため、「かえって疲れてしまう」という声も一部で見られます。こうした場面では、一時的にe-Pedalをオフにするというのも一つの賢い使い方です。
この未来的な操作感覚にスムーズに馴染めるかどうかが、e-Pedalを快適に使いこなせるかどうかの重要な分かれ道と言えそうです。
実際の口コミ・評判をチェック
e-Pedalに関する実際の口コミや評判を調査すると、ドライバーの運転スタイルや生活環境によって評価が大きく分かれる、非常に興味深い機能であることがわかります。
肯定的な口コミ

「最初は戸惑ったけど、今ではすっかり虜です。市街地での運転が本当に快適になり、もうe-Pedalなしの車には戻れないかも。」
「アップダウンの多い山道で真価を発揮しますね。アクセルを離すだけで適切な速度まで減速できるし、坂道で停止しても車がずり下がらない安心感が大きいです。」
「ブレーキパッドが全然減らない。メンテナンスコストの面でもメリットがあると感じています。」
否定的な口コミ

「アクセル操作に常に気を使うので、リラックスして長距離を走りたい自分には合いませんでした。高速道路では常にオフにしています。」
「後続車に迷惑じゃないか、いつも気になってしまう。ちょっとアクセルを緩めただけでブレーキランプが点灯するのは、精神的に疲れます。」
「同乗者、特に妻からの評判が悪く、結局使わなくなりました。スムーズに操作できるようになるまで練習が必要ですね。」
このように、運転スタイルや主に走行する道路状況によって、評価は大きく異なるようです。特に、運転感覚には個人差が大きいため、購入を検討している方は、ディーラーでの短時間の試乗だけでなく、可能であればレンタカーなどで少し長めに試してみることを強くおすすめします。
ガソリン車とは違う電費の考え方
e-Pedalの燃費への影響を正しく理解するためには、まず「燃費」と、電動車特有の指標である「電費」の違いを明確に把握する必要があります。
項目 | 燃費(ガソリン車) | 電費(EV・e-POWER) |
---|---|---|
指標 | 1リットルの燃料で何km走行できるか | 1kWh(キロワットアワー)の電力量で何km走行できるか |
単位 | km/L | km/kWh |
エネルギー回収 | 減速時の運動エネルギーは、主にブレーキパッドの摩擦による熱として大気中に放出される | 減速時にモーターを発電機として利用し、運動エネルギーを電気エネルギーとして回収(回生)し、バッテリーに充電する |
e-Pedalは、この「回生」をドライバーが積極的に、そして最大限に行うための機能です。日産の公式サイトでも解説されているように、アクセルペダルを離すとモーターが瞬時に発電機として働き、車の運動エネルギーを電気エネルギーに変換してバッテリーに戻します。つまり、これまでブレーキを踏むことで熱として捨てていたエネルギーを、次の走行のための電力として再利用することで、実質的なエネルギー効率、すなわち電費を高めるという非常に合理的な仕組みなのです。
e-Pedalは、減速するという行為そのものを「充電」に変えることで、電費の向上に大きく貢献する賢いシステムと言えます。
日産リーフの電費への影響は?
100%電気で走る電気自動車(EV)のパイオニアである日産リーフにおいて、e-Pedalは単なる便利機能ではなく、電費、ひいては航続距離を最大化するための非常に重要な機能と位置づけられています。
リーフの場合、走行に使用するエネルギーのすべてを、搭載されているバッテリーの電力で賄っています。そのため、減速時のエネルギーをいかに効率よく回収し、バッテリー残量を維持できるかが、カタログスペック上の航続距離を達成するための鍵となります。アクセルを離すたびに回生ブレーキが力強く作動し、こまめにバッテリーを充電してくれるe-Pedalは、まさに生命線とも言える存在です。
日本の道路事情と好相性
特に信号や渋滞が多く、ストップ&ゴーを繰り返す日本の都市部の道路事情では、e-Pedalを積極的に使用することで、エネルギーを無駄なく回収し、電費を大幅に改善することが期待できます。実際のユーザーレポートを見ても、e-Pedalのオン・オフで電費に10%から15%程度の差が出たという報告は珍しくありません。これは航続距離400kmの車であれば、40km以上走行距離が伸びる計算になります。
リーフの優れた電費性能と航続距離を最大限に引き出すためには、e-Pedalの特性を理解し、積極的に使いこなすことが不可欠です。
頻繁なブレーキランプ点灯は迷惑?
e-Pedal使用時にアクセルを離すと、道路運送車両の保安基準で定められた一定以上の減速度が発生した場合にブレーキランプが自動で点灯します。これは、後続車に自車が明確に減速していることを知らせ、追突事故を防ぐための重要な安全機能です。
しかし、アクセル操作に慣れていないと、ドライバーが減速を意図していない緩やかな速度調整のつもりでも、頻繁にブレーキランプが点灯し、後続車のドライバーを戸惑わせてしまう可能性があります。「前の車がカクカクしている」「ブレーキをやたらと踏む不安定な車だ」といった印象を与え、不必要に車間距離を詰められるなどのトラブルの原因になることも考えられます。
スムーズな運転を心がけよう
この問題を避けるためには、アクセルを「オンかオフか」のデジタルな操作ではなく、アクセルペダルを完全に戻さず、少し踏み込んだ状態で保持するような、滑らかなペダルワークを心がけることが大切です。これにより、回生ブレーキの効き具合を微調整でき、不必要なブレーキランプの点灯を抑え、交通の流れを乱すことなく周囲の車への配慮にもつながります。
eペダルで燃費が悪いと感じる走行シーン
- 高速道路での燃費は伸び悩む傾向
- エクストレイルの燃費への効果
- 新型セレナの燃費とe-Pedal
- 止まらない?危ないと言われる理由
- e-Pedalは廃止されたのか?
e-Pedalは常に燃費を向上させる万能な機能ではなく、走行シーンによっては燃費が悪いと感じられることもあります。ここでは、どのような状況で燃費が伸び悩む傾向にあるのか、具体的な車種の例も交えながら解説します。
高速道路での燃費は伸び悩む傾向
e-Pedalの最大のメリットである回生ブレーキは、加減速の機会が極端に少ない高速道路での一定速度巡航時には、その効果を発揮する場面がほとんどありません。
特にe-POWERの場合、高速走行中はバッテリーの電力を補うために発電用エンジンが連続して作動する時間が長くなります。ご存知の通り、e-POWERはエンジンを発電にのみ使用し、100%モーターで駆動する「シリーズハイブリッド」方式です。この「エンジンで発電→電力でモーターを駆動」というプロセスには、どうしてもエネルギー変換ロスが伴います。そのため、エンジンの力を直接タイヤの駆動にも使える一般的なハイブリッド車(シリーズパラレル方式)に比べて、高速燃費が伸び悩む傾向にあるのです。
これはe-Pedalの有無というよりも、日産e-POWERが採用するハイブリッドシステムが持つ構造的な特性と理解するのが正確です。国土交通省が定める燃費測定モード(WLTCモード)でも、市街地モードに比べて高速道路モードの数値が伸び悩む傾向が見られます。
高速道路での燃費向上のコツ
高速道路ではe-Pedalをオフにするか、エコモードなどを活用して、できるだけアクセル操作の頻度を減らし、一定速度で穏やかに走行することが燃費向上につながります。走行シーンに応じたモードの使い分けが賢い選択です。
エクストレイルの燃費への効果
車重が1.7トンを超え、時には1.9トン近くにもなるミドルサイズSUVであるエクストレイルでは、e-Pedalによる回生ブレーキの効果は、特に運動エネルギーが大きくなる市街地走行で顕著に現れます。
ストップ&ゴーの多い場面では、その重い車重が生み出す大きな運動エネルギーを効率よく電力として回収できるため、同クラスの従来型ガソリンSUVを大幅に上回る優れた燃費性能を発揮します。実際のユーザー報告でも、市街地ではリッターあたり15km~18kmという、このクラスのSUVとしては非常に良好な燃費を記録するケースが多く見られます。
ただし、前述の通り、高速道路での巡航では回生ブレーキの恩恵を感じにくいため、燃費の伸びは市街地ほどではありません。エクストレイルの優れた燃費性能を最大限に引き出すには、ドライバーが走行シーンを判断し、e-Pedalやドライブモードを積極的に使い分けることが重要になります。
新型セレナの燃費とe-Pedal
「家族のためのミニバン」として絶大な人気を誇る新型セレナe-POWERには、従来のe-Pedalからさらに進化した「e-Pedal Step」が搭載されています。
セレナは家族など多人数で乗車する機会が多いことから、パワフルさや燃費性能だけでなく、スムーズで快適な乗り心地がより一層求められます。そこでe-Pedal Stepは、従来のe-Pedalよりもアクセルオフ時の減速感を意図的にマイルドに調整し、運転に不慣れな方でも同乗者が不快に感じにくい、より自然で滑らかな減速フィーリングを実現しています。また、大きな変更点として、完全停止までは行わず、ガソリン車のクリープ現象(アクセルを離しても車がゆっくり進む現象)に近いごく低速まで減速する仕様に変更されました。
燃費性能については、基本的な考え方は他のe-POWER車と同様で、やはり市街地での走行時に回生ブレーキの恩恵を受けやすく、燃費向上に大きく貢献する機能です。
止まらない?危ないと言われる理由
「e-Pedalは危ない」「思ったように止まらない」という声が一部で聞かれることがありますが、これは機能への大きな誤解から生じている場合がほとんどです。
e-Pedalは「運転支援機能」です
e-Pedalはあくまでアクセル操作による減速を補助する運転支援機能であり、緊急時の急ブレーキや、交差点での確実な停止操作は、必ずドライバーが自身の判断でフットブレーキを踏んで行う必要があります。
アクセルを離すだけでスムーズに停止できる場面もありますが、その減速力は最大でも0.2G程度とされており、これはドライバーが意識して少し強めにブレーキを踏んだ際の減速感に相当します。しかし、急な飛び出しなど、緊急回避が必要な場面での制動力には到底及びません。「アクセルを離せば勝手に止まるだろう」という機能を過信した運転は、重大な事故につながりかねない非常に危険な行為です。常にブレーキペダルで安全に停止できる準備をしておくことが、安全運転の絶対条件です。
e-Pedalは廃止されたのか?
前述のセレナの例のように、現行モデルの一部車種では、従来の「e-Pedal」から、減速感を穏やかにした「e-Pedal Step」へと機能が変更・搭載されています。この違いを明確に比較してみましょう。
機能名 | e-Pedal | e-Pedal Step |
---|---|---|
主な搭載車種 | リーフ、ノート(先代)、キックスなど | エクストレイル、セレナ、ノート(現行)など |
停止挙動 | アクセルオフで完全停止まで可能 | クリープ速度まで減速(完全停止はしない) |
減速感 | 比較的強い | マイルドで自然なフィーリング |
主な目的 | 最大限の回生とワンペダル運転の実現 | 快適性と扱いやすさの向上 |
この仕様変更を「e-Pedalが廃止された」と捉えるユーザーもいますが、日産としては、完全停止まで行うe-Pedalの強い減速感に違和感を覚えるユーザーがいたことや、よりスムーズで扱いやすい操作性を目指した結果の「進化」と位置付けています。
機能が完全になくなったわけではなく、より多くのドライバーにとって扱いやすく、そして快適に感じられる形に改良されたと理解するのが適切でしょう。今後も車種のキャラクターやコンセプトに合わせて、制御方法が最適化されていく可能性があります。
結論:eペダルで燃費が悪いは本当か
この記事を通じて解説してきたe-Pedalと燃費に関する要点を、最後に改めてまとめます。
- e-Pedalはアクセルペダルの操作だけで加減速をコントロールできる日産独自の機能
- 最大のメリットはペダルの踏み替え頻度が激減し運転疲労が軽減されること
- デメリットは独特の操作感覚に慣れが必要で、特に最初は同乗者に気を使う点
- 減速時の運動エネルギーを電気に変えて充電する「回生ブレーキ」を積極的に行う仕組み
- この回生ブレーキにより実質的なエネルギー効率、つまり「電費」が向上する
- 特に信号や渋滞で停止と発進を繰り返す市街地走行で燃費向上効果が最も高い
- 一方で加減速の少ない高速道路の巡航運転では回生ブレーキの機会が少なく燃費が伸び悩む傾向にある
- 高速燃費の課題はe-Pedal自体ではなくe-POWERの「シリーズハイブリッド」方式の特性に起因する
- 一定以上の減速Gを検知するとブレーキランプは保安基準に基づき自動で点灯する
- 後続車への配慮のためにも、カクカクしないスムーズなアクセル操作の習熟が重要
- エクストレイルのような重量級SUVでは、大きな運動エネルギーを効率よく回生できるため市街地燃費に大きく貢献する
- セレナなどに搭載の「e-Pedal Step」は、減速感をマイルドにし、完全停止しないことで快適性を高めた進化版である
- e-Pedalはあくまで運転支援機能であり、緊急時や確実な停止は必ずフットブレーキで行う必要がある
- 機能を過信せず、常にフットブレーキで安全に停止できる準備をしておくことが大切
- 結論として「eペダルで燃費が悪い」という評価は、主に高速道路など特定の走行シーンにおける特性や、システムへの誤解から生じる場合が多い