日産独自のハイブリッド技術であるe-POWER。その静かで力強い走りは多くのドライバーを魅了していますが、ある日突然メーターに「e power システム停止 安全に停車してください」という警告が表示されたら、誰でも驚き、不安になるものです。この記事では、この警告メッセージが表示された際の具体的な原因と、ご自身でできる対処法を分かりやすく解説します。
突然のシステム停止や走行制限中という表示、あるいはエンジン掛からないといった状況にどう対応すればよいのか、また、セレナ e-POWERシステム故障の具体的な原因から、エラーの解除方法、万が一の修理費用に至るまで、網羅的にご紹介します。さらに、「販売店で点検してください」や「E-POWERシステム故障 次回始動できません」といった深刻なメッセージが表示された場合の正しい手順についても詳しく掘り下げていきますので、万一の事態に備え、落ち着いて対応するための知識を身につけていきましょう。
- e-POWERシステムが停止する代表的な原因
- 警告表示が出た際の自分でできる初期対応と応急処置
- 修理が必要になるケースとその費用目安
- トラブルを未然に防ぐための日常的なチェックポイント
「e power システム停止 安全に停車してください」の主な原因
- e-POWERシステムが停止する代表的な原因
- 警告表示が出た際の自分でできる初期対応と応急処置
- 修理が必要になるケースとその費用目安
- トラブルを未然に防ぐための日常的なチェックポイント
システムが一時的に停止したときの状況
「e-POWERシステム停止」の警告が表示されると、重大な故障を想像しがちですが、必ずしもそうとは限りません。実際には、車両システムの一時的なエラーや、周辺環境が原因で表示されるケースが少なくありません。
e-POWERシステムは、車両の状態を多数のセンサーで常に監視しています。そのため、何らかの要因でセンサーが一時的に異常な数値を検知すると、安全を最優先してシステムを停止させることがあります。これは、車両を保護するための正常な機能の一つです。
主な一時的エラーの原因
代表的な例としては、インテリジェントキーの電池残量不足や、キーと車両の通信を妨げる電波障害が挙げられます。また、フロントレーダーやカメラ部分の汚れ(泥、雪、氷など)によって、安全支援システムが正常に機能できないと判断し、関連するシステムが停止することもあります。
このような状況では、車両自体に物理的な故障が発生しているわけではないため、原因を取り除けばシステムは正常に復帰することがほとんどです。まずは慌てずに、どのような状況で警告が表示されたかを確認することが、問題解決への第一歩となります。
エラー表示の簡単な解除方法
システム停止の警告が表示された場合、いくつかの簡単な手順でエラーを解除できる可能性があります。ただし、これはあくまで一時的なエラーに対する応急処置であり、警告が頻発する場合は専門家による点検が必要です。
最も基本的で有効な方法は、システムの再起動です。
システムの再起動手順
- 周囲の安全を確認し、車両を完全に停車させます。
- シフトポジションを「P(パーキング)」に入れ、パーキングブレーキを確実にかけます。
- ブレーキペダルから足を離し、パワースイッチを押してシステムの電源を完全にOFFにします。
- そのままの状態で、30秒から1分ほど待ちます。これにより、システム内部の電気がリセットされます。
- 再度ブレーキペダルをしっかりと踏み込み、パワースイッチを押してシステムを再始動させます。
この操作で警告表示が消え、正常に走行可能状態になれば、一時的なソフトウェアのエラーだった可能性が高いです。しかし、この手順で復旧しない、またはすぐに再発する場合は、他の原因が考えられます。
再起動時の注意点
再起動を試みても警告が消えない場合に、何度もON/OFFを繰り返すことは避けてください。システムに不要な負荷をかけ、状況を悪化させる可能性があります。一度試して改善しない場合は、次のステップに進むことを推奨します。
エンジン掛からない時の応急処置
パワースイッチを押してもシステムが起動せず、「エンジン掛からない」状態に陥ることがあります。この多くは、車両がインテリジェントキーを正しく認識できていないことが原因です。
特に、キーの電池切れが近い場合や、強い電波を発する施設の近くにいる場合に発生しやすくなります。
このような状況では、以下の応急処置を試してみてください。
インテリジェントキー非作動時の始動方法
ブレーキペダルをしっかりと踏み込んだ状態で、インテリジェントキーのロゴマークがある裏面を、パワースイッチに直接接触させてください。キーをスイッチに接触させたまま、スイッチを押すことでシステムが起動することがあります。
これは、キーの電池が消耗していても、微弱な電波を車両側が直接読み取るための機能です。多くの日産車に備わっているため、覚えておくと非常に役立ちます。
もしこの方法でも起動しない場合は、補機バッテリー(12Vバッテリー)の電圧低下が考えられます。e-POWERシステムは、駆動用のリチウムイオンバッテリーとは別に、システム起動や電装品のために補機バッテリーを搭載しています。このバッテリーが弱っていると、システムを立ち上げることができません。

ドライブレコーダーの駐車監視機能などを多用していると、補機バッテリーが消耗しやすくなる傾向があります。もしバッテリー上がりが疑われる場合は、ロードサービスなどに連絡して専門的な対応を依頼するのが安全です。
セレナ e-POWERシステム故障の主な原因
セレナをはじめとするe-POWER搭載車でシステム故障の警告が表示される場合、原因は多岐にわたりますが、特に報告の多い代表的な原因がいくつか存在します。問題を切り分けるために、以下の表を参考にしてください。
考えられる原因 | 具体的な状況 | 対処の方向性 |
---|---|---|
補機バッテリーの劣化 | 最も多い原因の一つ。電圧が低下すると、システムが正常に起動できず多数の警告を出すことがあります。特に冬場や長期間運転しなかった後に起こりやすいです。 | 電圧を測定し、劣化している場合は交換が必要です。ジャンプスタートで一時的に始動できても、根本的な解決にはなりません。 |
センサー類の汚れ・故障 | フロントレーダー、カメラ、ソナーなどに雪・氷・泥が付着すると、安全支援システムが機能不全と判断し、警告が出ます。また、センサー自体の故障も考えられます。 | まずはセンサー周辺の清掃を試みます。清掃後も改善しない場合は、センサー故障の可能性があり、販売店での診断が必要です。 |
インテリジェントキー関連 | キーの電池切れ、またはスマートフォンなど他の電波を発する機器との電波干渉。 | キーの電池を交換するか、キーを直接パワースイッチに接触させて始動を試みます。 |
システムのソフトウェア的なエラー | 何らかの要因で、制御プログラムが一時的にエラーを起こしている状態です。 | 車両の再起動で復旧することが多いです。 |
e-POWERシステム本体の異常 | インバーターやバッテリー制御システムなど、e-POWERの根幹部分に異常がある場合。頻度は低いですが、重大な故障につながる可能性があります。 | 速やかに販売店で専門的な診断を受ける必要があります。自走が困難な場合も考えられます。 |
このように、原因は比較的簡単なものから専門的な診断が必要なものまで様々です。まずは自分で確認できるバッテリーやセンサーの清掃から試してみることが重要です。
走行制限中と表示されたときの意味
「走行制限中」というメッセージは、車両が何らかの異常を検知し、安全確保のためにエンジンの出力やモーターの性能を意図的に制限している状態を示します。
これは、ドライバーに危険を知らせると同時に、車両の主要部品(モーター、インバーター、バッテリーなど)へのダメージが拡大するのを防ぐための重要なフェイルセーフ機能です。
走行制限がかかると、具体的には以下のような症状が現れます。
- アクセルペダルを踏んでも速度が上がらない(例:時速30~40km/h程度が上限になる)。
- 加速が著しく鈍くなる。
- 警告灯(マスターウォーニングなど)が同時に点灯する。
走行制限中の運転は危険です
この表示が出た場合、通常通りの運転は困難であり、無理に走行を続けることは非常に危険です。特に、合流や追い越し、登坂などでは十分な加速ができず、事故につながる恐れがあります。速やかに左車線に寄り、安全な場所に停車して対応を検討してください。
原因としては、e-POWERシステムのオーバーヒート、バッテリー残量の極端な低下、あるいは制御システムの重大な異常などが考えられます。いずれにせよ、このメッセージが表示されたら、自走を続けずに販売店やロードサービスへ連絡するのが最も安全な選択です。
「e power システム停止 安全に停車してください」の原因と故障対応
- 「次回始動できません」と表示されたら
- 走行制限中が続く場合の対処法
- 「販売店で点検してください」の指示が出たら
- 販売店で点検する際の流れ
- 気になる修理費用の目安は?
「次回始動できません」と表示されたら
「e-POWERシステム故障 次回始動できません」というメッセージは、システムが自己診断機能により、再始動が困難または危険と判断するほどの深刻な異常を検知したことを意味します。
これは、これまで解説してきた一時的なエラーとは異なり、e-POWERシステムの根幹に関わる部品に問題が発生している可能性が非常に高いサインです。例えば、駆動用バッテリーの制御システムや、高電圧を管理するインバーターなどに異常がある場合に表示されることがあります。
このメッセージが表示されたら自走は避けるべき
この警告が表示された場合、たとえ現在走行できていたとしても、一度パワースイッチをOFFにすると、次にONにできなくなる可能性が極めて高いです。目的地が目前であっても、無理に走行を続けるのは推奨されません。速やかに安全な場所に停車し、レッカーサービスを手配して販売店に車両を搬送する必要があります。
この警告は、e-POWER関連の警告の中でも特に緊急性が高いものの一つです。表示された際は、落ち着いて、しかし迅速に専門家へ助けを求めるようにしてください。
走行制限中が続く場合の対処法
システムの再起動などを試みても「走行制限中」の表示が解除されず、低速でしか走行できない状態が続く場合は、システムに持続的な異常が発生していると考えられます。
一時的な保護モードではなく、部品の故障や性能低下が原因となっている可能性が高いです。この状態で長距離を走行しようとすることは、車両にさらなるダメージを与えるだけでなく、交通の流れを妨げ、事故を誘発するリスクも伴います。
走行制限が続く場合の具体的な対処ステップ
- 安全の確保: まずはハザードランプを点灯させ、後続車に異常を知らせながら、最も近い安全な場所(サービスエリア、駐車場、路肩など)に停車します。高速道路上では、停止表示器材を設置し、ガードレールの外など安全な場所に避難してください。
- 状況の確認: 他にどのような警告灯やメッセージが表示されているかを確認し、可能であればスマートフォンなどで撮影して記録しておきます。
- 専門家への連絡: 自走を断念し、加入している自動車保険のロードサービスやJAF、日産販売店へ連絡します。状況を正確に伝えることで、適切な手配(レッカー移動など)をしてもらえます。
「まだ少しは走れるから」と安易に考えず、プロの判断を仰ぐことが、結果的に安全と修理コストの抑制につながります。
「販売店で点検してください」の指示が出たら
「販売店で点検してください」というメッセージは、車両の自己診断機能が、ドライバー自身での解決が困難であり、専門的な診断機器(コンサルトなど)を用いた点検が必要な異常を検知したことを示しています。
この表示が出た場合、たとえ走行に明らかな支障がなくても、システム内部に見えない問題が潜んでいる可能性があります。問題を放置すると、後々より深刻な故障につながったり、安全性能が十分に発揮されなくなったりする恐れがあります。

言ってしまえば、これは車からの「専門医に診てもらってください」というメッセージです。人間ドックで要再検査と言われたのと同様に、軽視せず、早めに予約を取って点検を受けることが重要になります。
このメッセージは、e-POWERシステムだけでなく、プロパイロットや衝突被害軽減ブレーキといった運転支援システム、あるいはキーシステムやシャシー制御など、様々なシステムの異常で表示されます。どのシステムに異常があるのかを正確に特定するためにも、販売店での診断は不可欠です。
販売店で点検する際の流れ
「販売店で点検してください」という警告を受けてディーラーに連絡した場合、一般的には以下の流れで点検・修理が進みます。
- 予約と入庫: まずは電話で状況を説明し、点検の予約を取ります。自走が可能な場合は予約日に車両を持ち込みますが、走行に不安がある場合はレッカーでの搬送を相談しましょう。
- 問診と状況確認: サービスアドバイザーが、いつ、どのような状況で警告が表示されたか、他にどのような症状があったかなどを詳しくヒアリングします。事前にメモや写真を撮っておくと、この段階でスムーズに情報を伝えられます。
- 専用診断機による診断: 整備士が「コンサルト」と呼ばれる日産専用の診断機を車両に接続します。これにより、システムが記録しているエラーコード(故障コード)を読み出し、異常が発生している箇所を正確に特定します。
- 原因の特定と見積もり: 診断結果に基づき、故障の原因を特定します。部品の交換が必要な場合は、部品代と工賃を含めた修理費用の見積もりが提示されます。
- 修理の実施: 見積もり内容に同意した後、実際の修理作業が行われます。部品の在庫がない場合は取り寄せとなり、車両を数日間預けることもあります。
- 最終確認と納車: 修理完了後、エラーが解消されていることを確認し、作業内容の説明を受けて納車となります。
新車保証や延長保証の期間内であれば、内容に応じて無償で修理が受けられる場合もあります。入庫の際に保証書を持参し、対象となるかを確認することも忘れないようにしましょう。
気になる修理費用の目安は?
e-POWERシステムの修理費用は、故障の原因や交換する部品によって大きく異なります。ここでは、代表的なケースの費用目安を挙げますが、あくまで参考情報としてお考えください。正確な費用は必ず販売店での見積もりで確認が必要です。
修理費用のおおまかな目安
- 補機バッテリーの交換:
最も頻度の高い修理の一つです。バッテリー本体の価格と工賃を合わせて、約2万円~4万円程度が目安です。バッテリーの種類(アイドリングストップ車用など)によって価格が変動します。 - センサー類の交換:
ソナーやカメラ、レーダーなどのセンサー交換は、部品代と工賃で1箇所あたり約3万円~10万円程度と幅があります。交換後にエーミング(校正作業)が必要な場合、工賃が高くなる傾向にあります。 - ECU(電子制御ユニット)の交換:
各種システムを制御するコンピューターの交換は、約5万円~10万円以上かかることがあります。 - インバーターや駆動用バッテリー関連:
e-POWERシステムの根幹部品の修理・交換は最も高額になります。保証期間が過ぎている場合、数十万円単位の費用が発生する可能性も否定できません。ただし、これらの部品には「特別保証部品」として、一般保証より長い保証期間(例:5年または10万km)が設定されていることが多いです。
保証期間の確認は非常に重要です。万が一の高額修理に備え、新車購入時の保証内容を改めて確認しておくことをお勧めします。
「e-POWERシステム停止 安全に停車してください」警告の原因まとめ
- 警告が表示されたら、まずは慌てずに安全な場所へ停車する
- システムの再起動は、一時的なエラー解消に有効な場合がある
- インテリジェントキーの電池切れや電波干渉もシステム停止の一因
- キーが反応しない時は、パワースイッチに直接接触させて試す
- フロントレーダーやカメラの汚れは、安全支援システムの警告を引き起こす
- 最も多い原因の一つが、補機(12V)バッテリーの劣化や電圧低下
- 「走行制限中」は安全機能が作動しているサインで、無理な走行は危険
- 「次回始動できません」は深刻な異常の可能性が高く、即座に専門家へ連絡が必要
- 「販売店で点検してください」の表示は、自己解決が困難な問題を示唆している
- 販売店では専用診断機を用いて、エラーコードから原因を正確に特定する
- 修理費用は原因によって大きく異なり、数万円から数十万円まで幅がある
- センサー交換には、部品代の他にエーミング(校正作業)の工賃が必要な場合がある
- 高額な部品には、一般保証より長い特別保証が設定されていることが多い
- 同じ警告が頻繁に出る場合は、根本的な原因の解消が必要
- 定期的な点検とメンテナンスが、e-POWERシステムのトラブルを未然に防ぐ鍵となる