中古車市場で不動の人気を誇るダイハツ・タント。特に2代目にあたるタント L375Sの購入を検討する際、前期と後期のモデルが存在することに気づくでしょう。実は、この前期後期で年式の違いによって、デザインや性能、快適性に大きな差があります。この記事では、カスタム l375s 前期 ヘッドライト周りのデザインといった外観の違いから、ターボモデルの有無、そして大きく進化した燃費性能に至るまで、タントL375Sの前期・後期の違いを徹底的に掘り下げて解説します。
さらに、L375 l375s 違いといった基本的な型式の疑問から、l375は壊れやすいのかという中古車ならではの不安、そして現在も人気の高いカスタム l375s 後期モデルの評価まで、購入前に知っておきたい情報を網羅しました。この記事を最後まで読めば、あなたのライフスタイルや予算にぴったりの一台を見つけるための、確かな知識が身につきます。
- タントL375Sの前期と後期の具体的な違いが明確になる
- 年式やグレードごとの特徴を理解し、自分に合った選び方が分かる
- 中古車購入時に確認すべき注意点や故障リスクを把握できる
- カスタムモデルやターボモデルの詳細な見分け方が身につく
タントL375Sの前期・後期の違いをモデル別に解説
- 2代目タントの前期 後期の概要
- L375とl375sの違いとは?
- 前期後期で年式によるモデルの区分
- 後期年式モデルの主な改良ポイント
- カスタムl375s前期のヘッドライト
- ターボモデルの見分け方と特徴
2代目タントの前期 後期の概要
タントL375Sは、ダイハツが2007年12月から2013年10月まで販売していた2代目のタントを指します。初代から受け継いだ広大な室内空間というコンセプトをさらに昇華させ、このモデルの最大の特徴である軽自動車初のセンターピラーレス構造とスライドドアを組み合わせた「ミラクルオープンドア」を搭載しました。助手席側のドアを開けると、最大1,480mmという驚異的な開口部が生まれ、乗り降りのしやすさや大きな荷物の積載性が飛躍的に向上。この画期的な機能は、特に小さなお子様がいるファミリー層から絶大な支持を集めました。
この2代目タントの歴史を語る上で欠かせないのが、2010年9月に行われたマイナーチェンジです。この変更を境にして、それ以前に生産されたモデルを「前期型」、以降のモデルを「後期型」と区別しています。単なるデザイン変更に留まらず、燃費性能や装備内容、走行フィールに至るまで多岐にわたる改良が施されているため、中古車を選ぶ際にはこの前期・後期の違いを正しく理解しておくことが、後悔しないクルマ選びの第一歩となります。
豆知識:ミラクルオープンドアの誕生秘話
開発の背景には、子育て世代のユーザーからの「もっと乗り降りしやすければ良いのに」「子供を抱っこしたままスムーズに乗りたい」といった切実な声がありました。ダイハツはこれらのニーズに応えるため、ボディ剛性の確保という大きな課題を乗り越え、この革新的なドア構造を実現。ベビーカーを畳まずに積みたいといった願いをも叶え、タントの人気を不動のものにしたのです。
L375とl375sの違いとは?
中古車情報サイトやカタログなどでタントの情報を集めていると、「L375」と「L375S」という、非常によく似た二つの型式表記を目にすることがあり、混乱するかもしれません。結論から言うと、この二つは車両の駆動方式の違いを示しており、最後のアルファベットが重要な意味を持っています。
「L375S」の末尾にある「S」は、FF(前輪駆動)モデルを意味するダイハツの識別記号です。一方で、4WD(四輪駆動)モデルは「L385S」という異なる型式が与えられています。それぞれの特徴は以下の通りです。
型式 | 駆動方式 | 特徴 |
---|---|---|
L375S | FF(前輪駆動) | 一般的な舗装路での走行がメイン。車重が軽いため燃費が良い傾向にあります。 |
L385S | 4WD(四輪駆動) | 雪道や凍結路、急な坂道での走行安定性が高いです。FFより燃費は若干劣ります。 |
中古車サイトでは、これらをまとめて「L375系」と総称して表記することが多いため、「L375」という記載だけではFFか4WDかを正確に判断することはできません。特に降雪地域にお住まいの方や、ウィンタースポーツなどで山間部へ行く機会が多い方は、購入前に必ず車検証に記載されている正式な型式を確認し、自分の用途に合った駆動方式を選ぶようにしましょう。
前期後期で年式によるモデルの区分
タントL375Sの前期型と後期型は、前述の通り2010年9月に行われたマイナーチェンジを境に明確に分けられています。この年式の違いを把握しておくことは、デザインの好みだけでなく、燃費や装備といった実用面での選択基準を定める上で非常に重要です。
具体的な販売期間を改めて整理すると、以下のようになります。
- 前期型:2007年12月 ~ 2010年9月
- 後期型:2010年9月 ~ 2013年10月
中古車を探す際には、車検証に記載されている「初度登録年月」を確認することで、その車両が前期型か後期型かを正確に判断できます。一般的に、後期型の方が新しい分、中古車市場での価格は高くなる傾向にあります。しかし、その価格差には燃費性能の向上や装備の充実といった明確な理由があるため、初期費用だけでなく長期的な維持費も考慮して、総合的にどちらが自分にとってメリットが大きいかを検討することが賢明な選び方と言えるでしょう。
後期年式モデルの主な改良ポイント
後期型は、前期型から約3年間の市場のフィードバックや技術の進化を反映し、さまざまな点で改良が加えられ、商品力が高められています。特に大きな変更点は、エクステリアデザイン、機能装備、そして燃費性能の3つです。それぞれを詳しく見ていきましょう。
エクステリアデザインの変更
後期型で最も分かりやすい変更点は、スポーティモデルである「タントカスタム」のフロントマスクです。フロントグリルやバンパーのデザインが、より立体的でメッキ加飾を多用した迫力のあるものに変更されました。また、フォグランプの形状も前期のシャープな横長角型から、後期では存在感のあるスポーティな丸型へと変わっています。これらの変更により、より高級感と存在感が強調されました。一方で、標準モデルのタントには大きなデザイン変更はなく、親しみやすいデザインが維持されています。
機能・装備の充実
日常の使い勝手も着実に向上しています。後期型では、前期型では一部の上級グレードのみだったCVT(無段変速機)が全車に標準装備となり、変速ショックのないスムーズな走行フィールと静粛性を実現しました。さらに、夜間にミラクルオープンドアの足元を照らす「スライドドアステップランプ」が追加され、小さなお子様やお年寄りの乗り降りの安全性が向上した点も嬉しいポイントです。
燃費性能の大幅な向上
後期型、特に2011年11月以降のモデルでは、当時のダイハツの低燃費技術「e:S(イース)テクノロジー」の一部が採用され、アイドリングストップ機能(エコアイドル)が搭載されました。ダイハツの発表によると、これによりNA・2WD車でJC08モード燃費24.8km/Lを達成(出典:ダイハツ工業株式会社 ニュースリリース 2011年11月7日)。前期型から飛躍的に燃費性能が向上し、日々のガソリン代を抑えたい方にとっては非常に大きなメリットとなります。
カスタムl375s前期のヘッドライト
ヘッドライトのユニット(灯体)自体は、前期と後期で共通の部品が使われています。しかし、特に人気のカスタムモデルにおいては、その周辺のフロントグリルやバンパーのデザインが大きく異なるため、顔つきの印象が全く違って見えるのが面白い点です。
カスタムL375S前期型のデザインを特徴づけているのは、バンパー下部に配置された大型で横に長い長方形のフォグランプです。このフォグランプと、比較的シンプルで水平基調のデザインのフロントグリルが組み合わさることで、車体をワイドに見せ、シャープですっきりとした印象を与えます。派手さはありませんが、このまとまりのある直線基調のデザインは、現在でも「前期顔」として根強い人気があります。

後期型の迫力あるデザインも魅力的ですが、前期型のシンプルで引き締まったフロントマスクを好む方も少なくありません。こればかりは性能ではなく感性の領域ですので、ぜひ中古車販売サイトなどで多くの写真を見比べて、ご自身の好みに合うデザインを見つけてみてください。
ターボモデルの見分け方と特徴
タントL375Sには、標準のNA(自然吸気)エンジンよりもパワフルな走りを楽しめるターボエンジン搭載モデルが存在します。坂道や高速道路での走行が多い方、家族4人で乗車する機会が多い方には、走行に余裕が生まれるため特におすすめです。
ターボモデルの見分け方
ターボエンジンは「カスタムRS」という最上級グレードにのみ搭載されていました。中古車市場で見分けるための具体的なポイントは以下の通りです。
- グレード名:リアゲート(バックドア)に「RS」や「CUSTOM RS」といったエンブレムが付いています。これが最も確実な判別方法です。
- アルミホイール:ターボ車専用デザインの15インチアルミホイールを標準装着しています。(NA車は14インチが基本です)
- ステアリング:後期型の一時期を除き、イタリアの有名ブランドであるMOMO(モモ)製の革巻きステアリングが標準装備されています。
- 車検証の型式:車検証に記載されている型式の頭文字が「CBA-L375S」となっている場合、ターボ車である可能性が高いです。(NA車は主に「DBA-L375S」)
ターボモデルの特徴
最大の魅力は、当時の軽自動車の自主規制値上限である最高出力64馬力を発生する力強い加速性能です。NA(自然吸気)モデルの52~58馬力のエンジンと比較して、特に発進時や高速道路での合流、追い越しなどで明らかなパワーの余裕を感じられます。ただ、パワフルな分、燃費性能はNAモデルに比べて劣る傾向があるため、日々の走行距離や使い方を考慮し、走行性能と経済性のどちらを重視するかで選択すると良いでしょう。(参照:国土交通省 自動車燃費目標基準)
購入前に知るタントL375Sの前期・後期の違い
- 内装やメーター周りの変更点
- l375は壊れやすい?故障リスク
- 燃費性能の向上と比較
- カスタム l375s 後期モデルの評価
- まとめ:タントL375Sの前期・後期の違い
内装やメーター周りの変更点
内装においても、前期型と後期型ではいくつかの違いが見られ、快適性や質感に影響を与えています。特にメーター周りは、ドライバーが常に目にする部分なので、その違いは所有満足度に直結します。
前期型のメーターは、速度計、回転計、燃料計が並ぶ比較的シンプルなデザインの3眼メーターでした。一方、後期型では文字盤のデザインが一新され、より立体的で現代的な見た目へと進化しました。さらに、平均燃費や航続可能距離などを表示できる「マルチインフォメーションディスプレイ」が全車に標準装備されたことも大きな進化点です。これにより、エコドライブを意識した運転がしやすくなりました。
また、カスタムモデルでは、後期型からセンタークラスター(ナビやエアコンのパネル周り)が光沢のあるピアノブラック調の「ブラックシャインセンタークラスター」に変更され、内装の質感が格段に向上しています。シートの色や素材も年式やグレードによって細かく変更されているため、内装の雰囲気を重視する方は、実際に中古車の内装写真をじっくりと比較検討することをおすすめします。
l375は壊れやすい?故障リスク
タントL375Sは全体として見れば耐久性の高い実用的な車ですが、最も新しい年式でも生産終了から10年以上が経過しているため、経年劣化による故障のリスクは避けて通れません。中古車として購入する際に、特に注意してチェックしたい代表的なトラブル箇所をいくつか紹介します。
【購入前に要チェック!主な注意点】
- 電動スライドドアの不具合
タントの象徴的な機能ですが、長年の使用によりモーターが劣化したり、ドアを動かすワイヤーが断線したりするトラブルが報告されています。修理には高額な費用がかかる場合があるため、見学時には必ず複数回、開閉動作を確認し、異音がないか、スムーズに動くかをチェックしましょう。 - エンジン関連のトラブル(KF型エンジン)
前期型に搭載されている初期のKF型エンジンでは、オイル漏れやオイル消費(ピストンリングの固着によるオイル上がり)、ウォーターポンプの不具合などが持病として知られています。特に前期型を検討する際は、整備記録簿でオイル交換の履歴を確認し、エンジン周りにオイル滲みがないかを念入りにチェックすることが重要です。 - エンジンマウントの劣化
エンジンを支えるゴム部品であるエンジンマウントが劣化(硬化や断裂)すると、アイドリング時に「ブルブル」という不快な振動がステアリングや車内に伝わってきます。これは乗り心地を大きく損なうため、試乗時にDレンジで停車した際の振動の大きさを確認しましょう。 - CVTの不具合
走行距離が10万kmを超えた車両では、CVTから「ウィーン」という異音が発生したり、発進時にショックが大きくなったりすることがあります。CVTの修理や交換は非常に高額になるため、試乗してスムーズに変速するかどうかを体感することが大切です。
これらの潜在的なリスクを避けるためには、定期的にメンテナンスされてきた証である「整備記録簿」付きの車両を選ぶことや、保証制度が充実している信頼できる販売店で購入することが何よりも重要です。
燃費性能の向上と比較
タントL375Sを選ぶ上で、ガソリン代に直結する燃費性能は非常に重要な比較ポイントです。前期型と後期型では、搭載されるエンジンやトランスミッションの技術が異なるため、カタログ燃費にも大きな差が生まれています。
前期型では、一部の廉価グレードに昔ながらの4速ATが採用されており、その場合の燃費は18.2km/L(10・15モード)程度でした。CVT搭載車でも21.0km/L前後です。それに対して、後期型は全車CVT化された上、エンジン制御の改良や低燃費技術の採用により、燃費が大幅に向上しました。
特に、アイドリングストップ機能「エコアイドル」が搭載された2011年11月以降の後期最終モデルでは、JC08モードで25.0km/Lという、現代の軽自動車と比較しても遜色のない優れた数値を実現しています。
モデル | 代表グレード (FF/NA) | トランスミッション | 燃費 (10・15モード) | 燃費 (JC08モード) |
---|---|---|---|---|
前期型 (初期) | X | 4AT | 18.2km/L | – |
前期型 (後期) | Xリミテッド | CVT | 21.0km/L | – |
後期型 (初期) | X | CVT | 21.0km/L | – |
後期型 (最終型) | X | CVT | 27.0km/L | 25.0km/L |
※10・15モードとJC08モードは測定方法が異なるため、数値を単純比較することはできませんが、技術の進化によって燃費が大きく改善されていることは明らかです。日々のガソリン代などの維持費を少しでも抑えたいのであれば、エコアイドル搭載の後期型が断然おすすめと言えます。
カスタム l375s 後期モデルの評価
タントカスタムL375Sの後期モデルは、発売から10年以上経過した現在でも中古車市場で特に人気が高く、多くのユーザーから総合的に良い評価を得ています。その人気の理由と、一方で留意すべき点をまとめました。
良い評価・メリット
- 洗練されたエクステリアデザイン:迫力を増したフロントグリルや存在感のある丸型フォグランプのデザインは、現代の目で見ても古さを感じさせないと高く評価されています。
- 優れた燃費性能と経済性:前述の通り、特にエコアイドル搭載車の燃費は大きな魅力です。軽自動車税や重量税といった税金面でも経済的です。
- 充実した快適装備:パワースライドドアが標準装備となるグレードが増え、キーフリーシステムなどと合わせて日常の利便性が向上しています。
- 質感の高いインテリア:ブラック基調で統一された内装や、光沢のあるパネル類は軽自動車とは思えないほどの高級感を演出し、所有満足度を高めてくれます。
辛口な評価・デメリット
- 中古車価格が高め:依然として人気が高い分、同程度の走行距離や年式の前期型と比較すると、中古車価格が10〜20万円ほど高くなる傾向があります。
- デザインの好みが分かれる:迫力のある「オラオラ顔」とも言えるデザインが苦手な方からは、前期型のシンプルなデザインの方が好まれることもあります。
- 避けられない経年劣化のリスク:後期型といえども、生産終了から相当の時間が経過しているため、ゴム部品や樹脂パーツの劣化は避けられません。購入前の状態確認は必須です。
総合的に見ると、後期モデルは前期モデルで指摘されたいくつかの弱点を克服し、デザイン、燃費、装備の三拍子が揃ったバランスの取れた完成度の高いモデルと言えます。少し予算を多めに確保できるのであれば、後期型を選んでおくと後悔は少ないでしょう。
まとめ:タントL375Sの前期・後期の違い
この記事では、タントL375Sの前期型と後期型の違いについて、デザインから性能、購入時の注意点まで、さまざまな角度から詳しく解説しました。最後に、本記事の重要なポイントをリスト形式で振り返ります。
-
- タントL375Sは2010年9月のマイナーチェンジを境に前期と後期に分けられる
- L375SはFF駆動モデル、L385Sは4WD駆動モデルを指す
- 外観の大きな違いはカスタムモデルのフロントグリルとフォグランプ形状
- 前期カスタムはシャープな角型フォグランプ、後期カスタムはスポーティな丸型フォグランプが特徴
- 後期モデルは燃費効率と静粛性に優れたCVTが全車に標準装備されている
- 特に2011年11月以降の後期モデルはエコアイドル搭載で大幅に燃費が向上
- ターボモデルは最上級グレード「カスタムRS」で力強い走りを求める人におすすめ
- 見分け方は専用の15インチアルミホイールやRSエンブレムが目印
- 内装は後期型でメーターデザインが刷新されマルチインフォメーションディスプレイが追加
- 中古車購入時は便利な電動スライドドアの動作確認が不可欠
- 特に前期型はKFエンジンのオイル漏れやウォーターポンプの不具合に注意が必要
- 維持費や経済性を重視するなら燃費の良い後期型が最適な選択肢
- デザインの好みや予算によっては状態の良い前期型も十分に魅力的
- 購入前には必ず試乗しエンジンの振動やCVTの状態を確認することが大切
- どちらのモデルを選ぶにせよ整備記録がしっかり残っている車両を選ぶと安心