ランクル300リセール崩壊の真相！2025年最新相場と今後の展望

こんにちは。Car Research Lab、運営者の「Mee」です。

最近ネット上やSNSでランクル300のリセール崩壊に関する話題を目にして不安を感じているオーナーの方や、これから購入を検討しているけれど相場の下落がいつまで続くのか気になっている方も多いのではないでしょうか。かつては新車価格の2倍以上で取引されていた夢のような状況から一転し、輸出先の規制強化や為替の影響で市場環境は大きく変化しています。

特にマレーシアやパキスタンといった主要輸出国の動向は今後の相場を占う上で無視できません。またディーゼルモデルやガソリンZXといったグレードによるリセール差や内装色の違いが及ぼす影響についても詳しく知っておく必要があります。この記事では現在の市場で起きている現象の理由を深掘りしつつ2025年以降の展望について私なりの見解をお伝えしていきたいと思います。

ランクル300のリセール崩壊は本当か？現状を分析

「ランクル300の相場が崩れた」という噂が飛び交っていますが、実際のところ市場では何が起きているのでしょうか。ここでは、単なる噂レベルではなく、具体的な規制変更や需給バランスの変化に基づいて、現在の市場評価がどのように変動しているのかを詳しく解説していきます。

リセールが下落した主な理由と輸出規制の影響

まず結論から言うと、現在の相場下落は「異常なバブル状態からの正常化」と「輸出先の法改正による一時的なショック」が重なった結果だと私は見ています。多くのオーナー様が不安に感じている「崩壊」という言葉ですが、これは少し冷静に分析する必要があります。

発売当初、ランドクルーザー300系（LC300）は世界的な半導体不足とパンデミックによるサプライチェーンの混乱により、極度の供給不足に陥りました。納期が4年とも5年とも言われる中で、「今すぐ手に入るならいくらでも出す」という海外の富裕層やブローカーの需要が爆発し、買取価格が2,000万円近くまで跳ね上がるという、自動車市場の歴史に残る異常事態が起きていたのです。これは実需というよりも、投機マネーが流入したことによる「バブル」でした。

しかし、2025年現在、メーカーの生産体制は完全に正常化し、日本のユーザーへの納車が順調に進んでいます。街中でランクル300を見かける頻度が増えたと感じませんか？ それがまさに供給改善の証拠です。市場に車が増えれば、「希少性」というプレミアムは当然薄れます。これが第一の理由です。

さらに大きな要因が、主要輸出先である各国の輸入規制強化です。これまでは、日本のオークションで高値で競り落とされた車両が、マレーシアやパキスタン、中東諸国へ輸出されていましたが、その受け皿となっていた国々で関税の引き上げやルールの変更が相次いでいます。輸出業者は「現地の販売価格」から「輸送費」や「関税」を引いた金額でしか日本で車を仕入れることができません。関税が上がれば、当然、日本での入札上限額（＝買取価格）は下がります。これが現在起きている「リセール下落」の正体です。つまり、車自体の魅力が落ちたわけではなく、車を運ぶための「見えないコスト」が劇的に上がってしまったことが最大の要因なのです。

ガソリンZXとディーゼルのリセール格差

「ランクルなら何でも高く売れる」という神話は、残念ながら崩れつつあります。現在、市場で明確な二極化が進んでいるのが、ガソリン車とディーゼル車のリセールバリューです。これから購入を検討されている方は、この違いを理解しておかないと将来大きな損をしてしまうかもしれません。

市場データを詳しく分析すると、3.5Lツインターボガソリンエンジンの最上級グレードであるZXは、依然として新車価格を大きく上回るリセール（残価率160%前後）を維持しているケースが多いです。なぜガソリン車ばかりが優遇されるのか、不思議に思いますよね。これには明確な理由があります。

主要な輸出先である中東やパキスタンなどの国々では、ガソリンエンジンの人気が圧倒的に高いのです。一つ目の理由は「燃料事情」です。地域によっては軽油の品質が安定せず、最新のクリーンディーゼルエンジンの故障リスクが懸念される場合があります。二つ目は「走行特性」です。砂漠地帯での走行では、高回転までスムーズに回るガソリンエンジンの特性が好まれます。

一方で、3.3LディーゼルエンジンのGR SPORTなどは、主に国内需要やオーストラリア、南アフリカ向けが中心となります。これらの国々は日本と同様に市場が成熟しており、法外なプレミアム価格を支払ってまで中古車を輸入しようという動きは限定的です。その結果、ディーゼルモデルの残価率は110%〜120%程度に留まることもあり、投機的な目線で購入した層にとっては「期待外れ」「崩壊」と感じられる水準まで調整が進んでいます。詳しくは（出典：トヨタ自動車公式サイト『ランドクルーザー』）で各グレードのエンジンスペックや装備差を確認し、輸出市場のニーズと照らし合わせてみることをお勧めします。

黒内装は不利？リセールに響く内装色の重要性

これからランクル300を購入する方、あるいは売却を検討している方に絶対にお伝えしたいのが、「内装色」の重要性です。日本国内で乗る分には、汚れが目立たずシックな「黒内装」が圧倒的に人気ですし、ディーラーでも黒を勧められることが多いと思います。しかし、リセール（特に海外輸出）を意識するなら話は全く別です。

輸出先となる中東（UAE、サウジアラビアなど）や南アジア（パキスタンなど）は、日中の気温が50度近くに達することもある酷暑の地域です。想像してみてください。炎天下に駐車した車のドアを開けたとき、黒い革シートは触れないほど熱くなっていますよね。熱を吸収しやすい黒色は、現地の富裕層から実用面で敬遠される傾向にあります。

そのため、「ベージュ」や「ニュートラルベージュ」の内装色が圧倒的に高値で取引されています。ベージュ内装は熱を持ちにくいだけでなく、現地では「ラグジュアリーの象徴」として明るい色が好まれる文化的背景もあります。実際のオークション相場を見ても、全く同じZXグレード、同じ年式、同じ走行距離であっても、内装が黒かベージュかだけで、買取価格に50万円、場合によっては100万円近い差がつくことも珍しくありません。「たかが色」と思わずに、リセールを重視するなら内装色は慎重に選ぶべきポイントです。

マレーシアへの輸出と関税回避地閉鎖の影響

東南アジアにおけるLC300の巨大マーケット、マレーシアでも大きな動きがあります。マレーシアは右ハンドル国であり、日本の高級車がそのままの仕様で輸出できる貴重な市場です。しかし、このマレーシア市場の構造変化が、日本の相場に冷や水を浴びせています。

これまでマレーシアの一部の富裕層や業者は、ランカウイ島やラブアン島といった「免税地域（Duty-Free Islands）」を利用していました。これらの島で車両登録を行うことで、本来であれば車両価格の数倍にもなる高額な輸入関税や物品税を合法的に回避（あるいは大幅に圧縮）し、実際には本土で乗り回すという手法が横行していたのです。

しかし、マレーシア政府はこの税収漏れを防ぐため、2026年予算案の一環として、これらの租税回避地を実質的に封鎖する厳しい方針を打ち出しました。免税地で登録された車両の本土への持ち出し制限が厳格化されれば、「節税のためにランクルを買う」という需要は消滅します。

さらに、輸入許可証である「AP（Approved Permit）」の手数料についても、政府方針により1台あたり約20,000リンギット（日本円で約70万円相当）のコスト増となる改定が進んでいます。輸入業者にとっては、仕入れコストがいきなり70万円も増える計算になります。彼らが利益を確保するためには、日本のオークションでの落札価格をその分だけ下げざるを得ません。これが、日本国内で「最近、入札が入らないな」「相場が下がったな」と感じる直接的な原因の一つとなっているのです。

パキスタン市場の関税引き上げとリセール動向

現在、ランクル300（特に右ハンドル・ガソリン・ZX仕様）の相場に最も強烈なインパクトを与えているのが、パキスタンの動向です。「なぜパキスタン？」と思われるかもしれませんが、同国は日本の高級SUVにとって世界最大級の顧客なのです。しかし、パキスタンは慢性的な外貨不足に苦しんでおり、IMF（国際通貨基金）の指導のもとで厳しい経済改革を行っています。

その一環として、2025年に自動車輸入に関する規制が抜本的に見直されました。具体的には、SRO 1898(1)/2025という新しい法令により、商業目的の中古車輸入に対して、既存の税金に加えて40%もの追加関税（Regulatory Duty）が新たに課されることになりました。

例えば、日本での車両価格（FOB）が1,000万円だと仮定しましょう。これまでは一定の税率で済んでいたものが、新たに400万円相当の追加コストが発生することになります。輸送費や現地の利益を乗せると、最終的な販売価格はとんでもない金額に暴騰してしまいます。これにより、現地の富裕層といえども購入を躊躇し、実需が急速に冷え込んでいます。

この「40%関税」は日本からの輸出需要を激減させる決定的な要因となっており、パキスタン向けバイヤーの買いが細ったことが、オークション相場の軟調さに直結しています。ただし、希望がないわけではありません。この高関税はずっと続くわけではなく、パキスタン政府から段階的に引き下げられるロードマップも示されています。それについては次の章で詳しく解説します。

今後のランクル300のリセール崩壊はどうなる？

現状の厳しい環境を理解した上で、気になるのは「これからどうなるのか」という点ですよね。ここからは、2025年以降の市場シナリオと、私たちオーナーがどう動くべきかについて、将来の予測を交えて解説します。市場は生き物であり、規制と為替のバランスで常に動いています。

2025年以降の相場予想と復活のシナリオ

2025年から2026年にかけては、正直に申し上げてランクル300の相場にとって「冬の時代」が続くと予想されます。前述したパキスタンの40%高関税が適用され、同時にマレーシアの規制強化が本格的に効いてくる時期だからです。

この期間、これまで安定していたZXガソリンであっても、買取相場が1,000万円〜1,100万円付近を行き来する、あるいは一時的に1,000万円を割り込むような神経質な展開が続くかもしれません。特に、急激な円高（例えば1ドル130円台など）が進んだ場合は、海外バイヤーの購買力が相対的に下がるため、さらなる下落リスクも想定しておく必要があります。しかし、これはあくまで市場の調整局面であり、ランクルというプロダクト自体の価値がなくなったわけではありません。

希望の光は2027年以降にはっきりと見えています。パキスタン政府が発表しているロードマップによれば、導入された規制関税は年度ごとに低減される計画があり、2027-2028年頃には関税率が20%程度、将来的にはそれ以下まで下がる見込みです。このタイミングで、「高すぎて買えなかった」現地の待機需要が一気に顕在化し、再び輸出需要が爆発して相場が反転上昇する「復活のシナリオ」が十分に考えられます。

輸出仕様の三種の神器とモデリスタの評価

リセールを維持、あるいは少しでも高く売るためには、輸出市場で必須とされる装備、通称「三種の神器」を押さえておくことが不可欠です。これらは「あれば良い」ではなく「ないと売れない（輸出できない）」レベルの重要パーツです。

1. サンルーフ（ムーンルーフ）

これは絶対条件です。海外市場ではサンルーフのない高級車はあり得ないと考えられています。日本国内では使わないからと装着しなかった場合、輸出の対象から外れ、国内中古車として評価されるため、リセールバリューは数百万円単位で落ちる可能性があります。後付けができない装備なので特に注意が必要です。

2. リアエンターテインメントシステム

後席モニターのことです。特に中東やパキスタン向けのZXにおいては、後席に乗るVIPのための装備として非常に重視されます。メーカーオプションのJBLプレミアムサウンドシステムとセットで装着されている個体が最も評価が高くなります。

3. 内装色（ベージュ/ニュートラルベージュ）

前述の通り、黒内装に比べて圧倒的に有利です。これから注文する方でリセールを気にするのであれば、迷わずベージュ系を選択することをお勧めします。

一方で、日本国内で大人気のエアロパーツ「モデリスタ」については、評価が分かれます。かつてロシア向けでは「モデリスタ付き」が圧倒的な高値を呼びましたが、現在の中東やパキスタン向けでは事情が異なります。輸送コンテナへの積み込み時にエアロが干渉して破損するリスクや、現地の悪路走破性を重視する観点から、必ずしもプラス査定になるとは限らず、場合によっては「取り外して輸出」となることもあります。「エアロに数十万円かけても、売るときには元が取れない」ケースが増えている点は、カスタム派の方には痛い事実かもしれません。

納期の短縮とキャンセル車増加による相場変化

国内の需給バランスにも変化が起きています。かつて「4年待ち」「受注停止」と騒がれた納期は、メーカーの増産体制により大幅に短縮され、順調に納車が進んでいます。これに伴い、「待ちきれずに他の車を買った」「生活環境が変わった」「資金計画が変わった」といった理由でのキャンセル車両が増加しています。

また、転売防止のためにディーラーとかわした「1年間の保有義務（誓約書）」の縛りも、実態として緩くなってきているようです。以前は厳格にチェックされていましたが、生産台数が増えたことで、メーカーやディーラー側もそこまで神経質にならなくなっている側面があります。これにより、走行距離の少ない「新古車」がオークション市場に流入しやすくなり、供給過多気味になっていることも相場を押し下げる要因の一つです。

これまでは「お金を出しても買えない幻の車」だったからこそプレミア価格がついていましたが、今後は「ディーラーに行けば（時間はかかるが）買える車」へと認識が変わっていきます。これは「崩壊」というよりも、適正な需給バランスでの価格形成に戻っていく過程と言えるでしょう。

5年落ち解禁となる2027年の相場見通し

私が最も注目しているのが、2027年というタイミングです。これには明確な根拠があります。パキスタンの輸入ルールには「年式制限」があり、これまでは製造から「3年以内」の車両しか輸入できませんでした。しかし、新しい規制緩和により、これが「5年以内」へと変更される見通しです（2025年9月以降適用予定）。

これが何を意味するかというと、2021年・2022年に登録された初期型のランクル300が、2027年にはちょうど「5年落ち」となり、パキスタンへ輸出できる適齢期を迎えるということです。一般的に、関税は車両の価値（減価償却後の価格）に対してかけられるため、新車よりも5年落ちの中古車の方が、関税額を抑えることができます。

つまり、2027年には、関税率自体の引き下げと、5年落ちによる車両評価額の低下というダブルの恩恵を受けられるため、「5年落ちの初期型ZX」に対する強烈な買い需要が発生する可能性が高いのです。現地のバイヤーからすれば、「ようやく安く輸入できるランクル300」として争奪戦になるでしょう。

ランクル300のリセール崩壊説と今後の対策

最後にまとめとなりますが、「ランクル300 リセール 崩壊」という言葉は、あくまでピーク時の異常な高値と比較した場合の話です。新車価格に対してこれほどの残価率（100%以上）を維持できる車は、世界中を見渡してもランドクルーザー以外にほとんど存在しません。その意味で、ランクルは依然として「最強の資産」の一つです。

今後の対策として、オーナーの方はご自身の状況に合わせて以下の戦略を検討してみてください。

• ガソリンZXオーナー：資金に余裕があれば、今の調整局面で手放すのは得策ではありません。相場が回復し、パキスタン需要が復活する2027年頃まで保有を継続する「待機戦術」が最も合理的です。
• ディーゼル・低グレードオーナー：輸出バブルの恩恵を受けにくい構造のため、将来的な大幅高騰を過度に期待するのは危険です。「リセールが良い実用車」として長く楽しむか、もし乗り換えを検討しているなら、早めに損切りをして資産を組み替える判断も必要でしょう。
• これから買う人：投機筋が撤退し、相場が落ち着いてきた今は、実は適正価格で購入できる絶好のチャンスです。「リセール崩壊」というニュースは、購入希望者にとっては「買い時」の合図でもあります。

市場の波は常にありますが、ランドクルーザーという車の本質的な価値は変わりません。一時的なニュースに踊らされず、長期的な視点で愛車と向き合っていくことが、結果として満足のいくカーライフにつながるはずです。